中に入るとどうしても目はあのひとを探していた


きょろきょろと目を動かしているとちひろちゃんに手首をひっぱられた


「亜美ちゃん亜美ちゃん、こっちだよ」


どうやら道を間違えていたらしい


にしてもこの建物


広すぎる



エントランスまで一体どのくらいかかるのだろうか


横幅の広い廊下を歩いていると何回も人とすれ違った


ほぼ全員といっていいほどそれぞれ大きな荷物を持っていた


「あのひとも新入生なのかな」


そう聞くとちひろちゃんはコクンとうなずいた


「今日は新入生の寮決めがあるらしくって、だからこんなにひとが多いんだと思うよ」


「寮決め?」


「亜美ちゃん、寮決め知らない?」


今度はあたしがコクンとうなずいた


するとちひろちゃんは
はりきっているのか、すごく得意げに話しだした