"ポツッ…"
「……?」
頭上から水滴が落ちてきて、
ふと、空を見上げる。
さっきまで、薄暗いほどだった空は、重く暗い色をしていた。
サァー…っと、段々雨粒の数が増えていく。
傘を持って来ていない私は、
雨宿り出来るところに急いだ。
近くのマンションの階段に座り込む。
まだ、出来たばかりのような真新しい感じのマンション。
今度引っ越すときは、ここがいいなぁ…なんて。
近すぎか。
あーあ、
帰りたいけど、帰れないや。
でも、終夜にも会いづらいし、
ちょうどいいような、よくないような…。
体育座りをしている状態の私は、
足の間に顔を埋める。
「…おい……」
「…?」
低いトーンの声が聞こえて、
顔を上げる。
「何してんだよ」
「……総悟」

