「天下の矢野滝幸永がそんなこと
言っていいと思ってんの?
周り見渡してみ?俺らどうなるんだよ。」



机を挟んだ向こう側で
そう言うのは他校に進学した渡辺。


今日は俺の高校の文化祭に
来ていて俺は案内係ってわけ。



「天下って…。言ってる意味が
全然わかんないんだけど。」



「お前さあ………。
中学ん時から薄々気付いてたけど
もしかして自覚なし?」



「何の?」



「『俺ってイケメン!』みたいな。」



イケメン………

いやいやいや。

ないでしょ。



「思わないって。
別にイケメンじゃないし。」



イケメンっていうのは
もっとこう…陽詩みたいな…



「わぁーお。マジで言ってる?
1発殴らせてもらっていい?」



「は!?」



なんでだよって言おうとした時



「あのっ……………」



頭の上から聞こえた声。



_