いつもなら、 話に入れてもらって、 メアド交換して、 友達になって・・・・。 みたいにできるのに、今の杏の声はおばあさん。 恥ずかしくて、とてもじゃないけどしゃべれない。 『杏は杏―――』 ふと、恭の言葉を思い出した。 うれしかった。 温かかった。 今日一日で杏は恭に満たされた。 恭でいっぱいになった。 灰色だった杏の世界が、 また、色をとり戻しかけていた。