気が付くと、時計は五時を指していた。
「けっこう時間たつの早かったな。」
「…うん。」


盆踊りのちょうちんが灯りをともし、人も、さっきよりちらほら増えてきたようだ。
コータの髪にふれた。
夕陽に、髪が茶色く透けていた。

「あのさ…。」
コータが口を開いた。
「なんでもない。」
「泣いてる?」
私はニヤニヤして言った。口角を上げなければ涙にのまれそうだったから。


シュワ~シュワワワ~☆


「何やってんのさ!」
「さっき当たったひも引きの花火だよ。」

赤と、青の光。

「きれいね…。」
コータから花火を受け取り、自分もつける。 薄暗くなっていた周りがいっぺんに明るくなった。

「も~すぐ秋かな。」
「…うん。」