コータが死んだ。

おさなじみで。それ以上の関係と言えるくらい、お互い感情も成長して。
初めてお互いに、向かい合ったのは、15歳の夏。


強気に出たり、恥ずかしくなったり。
想いを重ねて。手をつないで。経験を重ねて。


ずっと一緒に居たいと思っていた。


初めて愛したひとが消えた。


もういないんだ。
もう話すこともメールが来ることもない。
怖くて、棺のなかのコータの死体は見れなかった。


部屋のドアを叩かれる。
出てきなさい、ごはんを食べなさい、彼は戻って来ないのだから、と。


何も聞きたくなかった。
優しい声が、私を引き留める。コータのいない毎日へ私を押し出そうとする。


胸が張り裂けそうで、潰れてしまいそうで


ドアノブに触れる。外に出ようか…


だけどやっぱり外に出れない。


コータが置いていった煙草に火をつけ、肺に入れるわけでもなく、灰皿にたてる。
コータの匂いにつつまれ、薬を飲み、眠りにつく。