ナツも家の事情で、高校をヤメてアキバで働いてたので、お互い家のことを話したくない者同士で、ミキにとっては都合が良かったのかも知れない ――ミキさんも心を開いてくれるといいンだけど ナツにはもう家族へのわだかまりは消えつつあったので、ミキにもそれを願ってた。 「次、降りよう」 静岡に入ってしばらくすると、ミキが言った 「近いのか?」 「ああ、ここから近い港のあたりだ」 ミキがノートPCの地図を見ながら言う。 「こんなとこに港なんてあったっけ?」