「あっちに富士山が見えますよ。
 ぁと、キライなんでしたっけ?」

「ま、な。
 やっぱ遠いなぁ」

ミキはぼそっと言う。

ナツはそんなミキを《ジッ》と見ている。

「じゃ、ですね、ムコウが昔ァタシが住んでたァタリかなぁ」

ミキは仕事前にもかかわらずミキの為にわざわざこんなところを案内してくれる、ナツのことが同性ながらカワイくてしょうがなかった。

――ヨースケに言ったら嫉妬されそうだな

ミキはヨースケの悔しそうな顔を想像して苦笑した。