「ところでオマエ、名前は?」 「オマエって言うなよ。 ヒトに名前を聞く時は、まず名乗るモンじゃねぇのか?」 レイヤはそれを許しそうな穏やかな雰囲気があって、ミキはつい、普段友達にしゃべってるオトコ口調でしゃべっていた。 「ナマイキなヤツだな。 俺は、レイヤだけど……」 ミキは目に入った吊り広告に《宮澤賢治》の文字を見つけて呟いた。 「……ケンジ」