母は、ミキにしがみつくと目を潤ませていた。 「ミク?」 ヨースケとナツは顔を見合わせた。 どうやら≪ミキ≫というのも本名じゃなかったらしい。 「ご、ごめんなさい、お友達?」 母はヨースケとナツに気づいた。 「同僚ですよ。俺はヨースケで、こちらはナツ」 「ハジメマシテ……」 中に入って、とりあえずテーブルのあるリビングに案内されるが、ミキは少し落ち着かない。