ミキの実家は、住宅街でひっそりとソバ屋をやってた。

「ただいま……」

ミキは案外そっけなく玄関の引戸を開いてそう言うと、誰が出てくるのを待つでもなく、昨日までここにいたように上がりこむ。

「すぐ帰るけど、いちおう上がってくか?」

そう言ってヨースケとナツを振り返った目は、平気を装ってるが、普段より緊張してるのが判った。

「ミク?
 帰ってきたの!?
 ミク、なんてヤセて……」

中から出てきた女性は、ミキの背格好でそのまま年齢を重ねたようで、母親だとすぐに判った。