「そうだ、ウチの親のこと話してなかったよな」

電車のドアによりかかりながら、ミキが言う。

さっき3人で泣いたせいか、お互いぼぉっとしてるようなとこがある。

ヨースケもナツも何も聞かなかったが、今度はミキの家に向かってるというのが判っていた。

「おやじは公務員してて、ある時不正経理っていうか、裏金を見つけてそれを騒ぎにしちまってさ。
 そん時は良かったけど、結局左遷されてさ。
 自分から辞めちまって今やソバ屋をやってるよ」

「それがなんで家出につながるんだ?
 正直な人みたいじゃないか」

ヨースケが聞く。