ミキは無造作にタマゴをテーブルに叩きつけると、何もないところでムキ始める。 ヨースケはその表情に、昨日船員たちを叩きのめした様子を思い出した。 「こ、これに入れて下さい……」 ナツがあわてて、殻入れのために皿を差し出す。 「ああ……」 ――夢中になると他が見えなくなるんだからな 何でも器用にこなすのと、気遣いの不器用さのギャップがミキらしかった。 ナツも同じことを思ったのか、ヨースケと顔を見合わせて、思わず微笑んでいた。