I -私-

私と美月が麗華ちゃんの家に行ったあの日。



一旦帰った振りをして、また麗華ちゃんの家に戻ってきたのだ。




「えっ・・・沙羅ちゃん??」



突然現れた私に驚き大きな瞳を見開く。




私の手には、ナイフ。



もちろん隠し持っている。



最上級の獲物を目の前に、私の心臓はいつもよりドキドキしていて、妙に速かった。




「どうしたの??何か、忘れ物??」



と麗華ちゃんは優しげで、それでいて少し不安な顔をしながら私に問う。





「うん。大事な物忘れちゃった。」



「それは大変!いますぐ家に上がっていっ



グサッ



「・・・麗華ちゃんの命。」




「・・・えっ。」



訳の分からない。という顔で倒れる麗華ちゃん。



私の顔は無表情。



「ど・・どうし・て??」



息を絶え絶えになりながら苦しそうに、涙を流しながらも私をまっすぐに見て問う。



しかし、その瞳は輝きを失いつつあった。



「どうしてっか・・・クス。」



こんな時にも非情に笑う。



狂ってる・・・。




「フクシュウだよ。麗華ちゃん。」



そう言った後、麗華ちゃんは「沙羅ちゃん。」と蚊の啼くような声でつぶやき静かに息を引き取った。