溺愛コンプレックス



「カナメ…、お母さ…」


私は二人を呼んだ。
のどがカラカラに乾いていて大きな声が出せない。


二人の会話が止まり、部屋に入ってきた。


「ツバキ!目を覚ましたのね…!」

お母さんは目に涙をためていた。


「私…みんなと血がつながってないんだね…」

お母さんもカナメも黙り込む。

「でも…」


私の目尻から涙が落ちる。

大好きなの、この家が。
怖いけど優しいお母さん、
存在感薄いけどたよりなるお父さん、

そして…

綺麗で賢くて、私を優しく包み込んでくれるカナメ…。


「…ここにいたいよ。お父さんとお母さんとカナメと、一緒にいたいよ…」


涙が止まらない。

愛しい、私の家族。
私に向けられた今までの優しさや笑顔は
ウソじゃないよね…?