溺愛コンプレックス


「ツバキが保護されたとき、同じ年の子の平均体重の半分しかなかったらしい。

ウチに来たときも、すでに4歳の俺より小さかったのを覚えてる」

私は、最近毎晩見る夢を思い出した。

真っ暗な部屋に小さくなってる自分。
いつも空腹で、自分の身体は骨みたいだった…

あれは…、夢じゃなかった―――?


「だからツバキは、ご飯を作ってくれたり、お風呂にいれてくれたり、自分の世話をしてもらうと、すごく幸せそうに笑ってた。

そのうち、昔のことを思い出せなくなった。ウチの両親はそれでいいって思ったんだ」


「…ウソ、そんな…」

アキナの声が震えている。

「ウソじゃない。多くの子どもが体験している現実でもあるんだ」


私の唇も震えていた。
もう聞きたくない…でも…