溺愛コンプレックス

「ツバキは…養女なんだ」

「…」

アキナは絶句している。

「5歳のとき、児童養護施設からウチに来た」

施設…?

「実の母親から虐待を受けてて、保護されたんだ」

「ギャクタイって…」

アキナの声は緊張していた。カナメは静かに続ける。

「虐待っていっても、暴力じゃないんだ。…ネグレクトって、わかる?完全に育児放棄すること。ご飯も食べさせない、風呂にも入れない、外出させない…」


私は、背筋に冷たい汗が流れるのを感じた。
一体、誰の話をしているの…?