溺愛コンプレックス

私は考えたいから、と言って、その後の帰り道は一人で帰った。


カナメの気持ち、レン先輩の気持ち…
今までも好きな人はいたけど失恋続きだったし、こういう気持ち、自分の頭では整理ができない。
こういうとき、いつもカナメに頼ってたのに。

河川敷を通り掛かった。


この間と同じ夕日が輝く川面だ。


「…あれ、変だな」


涙が零れた。
あんなに愛おしく思っていた風景が、今日はとても悲しい風景に見える…。



その日、私は初めてカナメがいない夜を過ごした。