溺愛コンプレックス

「っく…」

こらえきれずに、嗚咽が漏れてしまった。


「…誰だ?」


ベッドの横のカーテンが勢いよく開いた。



ベッドに丸まって泣いている私を見つけたレン先輩は、顔をしかめて髪をかきあげた。


「よりによって…何でいるんだ…」



「うっ…く…っく…」


涙が止まらない。


『姉と思ったことは、一度もない…』


カナメの言葉を反芻しては、胸につきささる。

私は姉として失格だったってことなの――…?

胸には、痛みとともに、空っぽになった気がした。

ああ、やっとわかった。

こういのが「空虚」っていうんだ…