溺愛コンプレックス

誰もいない保健室。

私はのそのそとベッドに潜り込んだ。


何も考えたくない、誰にも会いたくない…



まどろみかけたころ、保健室のドアが勢いよく開いた。


「先生いないのか…」


この低いよく通る声は…レン先輩だ。

今は誰にも会いたくない。
私は気づかれないように息をひそめた。

するともう一人、保健室に入ってきた。

「少し寝かせてくださ――…」

心臓が急に跳ねた。
この聞き慣れてるけど懐かしい声は…カナメだ…!