溺愛コンプレックス

カナメは、おばあちゃんの家に荷物を運んでから学校に行くと言って、早めに家を出た。

私はいつもの倍以上準備に時間がかかって、遅刻寸前で学校に着いた。

ひとりでくぐる校門。


校庭から無意識に1年の教室を見上げると、窓際にカナメが座っていた。
女の子に囲まれてるけど、受け流すように小説を読んでる。


軽くため息をついてカナメが窓の外に視線を動かした。


私と目が合うと、無表情でまた小説に視線を落とした。


いつもなら笑顔で手を振るのに…


私とカナメの間には、とてつもない距離ができてしまったみたい。