溺愛コンプレックス


え?


「もし、俺たち血が繋がってなかったら、ツバキは俺を好きになる?」



何を…言ってるの…?



「もしも、の話。答えてよ」


「だって考えられないよ…!カナメのバカバカ!どうしてそんなイジワル言うの?!」


私はさめざめと泣き出した。


「ツバキ…、ごめん。泣くなよ…」



私はずるい。
カナメが私の涙に弱いって知ってて泣いてるんだもん。
カナメの真っ直ぐな気持ち向き合えないから…。


カナメは、何も言わず、私の部屋から出て行った。


ドクン、ドクン…と今になって心臓が跳ね出した。

カナメのあんな顔…初めて見た。

私の知ってる弟の顔じゃなかった。



『キョウダイ…じゃなかったら…?』


カナメのあの言葉が胸にひっかかってる。


…そんなわけないよ、モノゴコロついた時から家族と一緒だったもん…。



明日から、どんな顔してカナメと会えばいいの…?