溺愛コンプレックス


「好きだよ」

目の前にあるカナメの顔は、少し赤くて、瞳さえ熱を帯びているかのように真剣な表情だった。

空気読まない私だって分かる。カナメは本気だ。


「……」


私は言葉に詰まる。だって、何て言ったらいいの?こんなときどうしたらいいの?

「…ツバキ、何か言ってよ…」

カナメはせつなそうに目を細めて、今度は私のまぶたにキスを落とす。


「…変だよっ…」


「…どうして?」


「だって私たちキョウダイなんだよ?…好きとか、こっ…コイビトとか、そんなの気持ち悪い…!」


私はカナメを突き飛ばそうとした。
でもカナメはびくともしない。もう一度私の手首を掴んだ。
少し傷ついた顔をしてる。


「キョウダイ…じゃなかったら…?」