溺愛コンプレックス


「私のせいでカナメが彼女作れないなんて、全然気づかなくて…ホントにごめんね…」


涙が止まらない。
カナメがくすっと笑って指で私の涙を拭った。

「そうだね…ツバキのせいだよ」


やっぱり…!
私はさらに大量の涙が込み上げた。


「ゴメンねぇ…!私がお荷物なばっかりに…」

「泣くなよツバキ。違うんだ」


カナメは優しく笑う。


「俺が彼女を作らないのは、ツバキに…」


私の頬に大きな手の平が触れる。


「…カナメ…?」



カナメの顔が近づき、サラサラの前髪が私の顔にかかったかと思うと、目の前が真っ暗になった。


カナメの唇が、私の唇に一瞬だけ触れる。


その体勢のままカナメが耳元で囁いた。



「ツバキに恋人になってほしいからだよ…」







それが、私の初めてのキス