すぐさま嘉人が弘也へ話しかける。

『おい、弘也!なんなの今の会話!お前、麻姫さんと付き合ってんの?!』


…そんなストレートに聞くなよ。
そして声がでかい!

あー、付き合ってるよな。
確実、付き合ってるよな。
俺、なんか立ち直れねーよ。
みんなのアイドルじゃねーのかよ。


『付き合ってねーよ。』


そうだよな。
やっぱ付き合ってねーよな…
うん。付き合ってねー…よ?


『え゙っ?』
おっと、思わず変な声が。


『は?付き合ってねーの?じゃあ今の会話は…』

嘉人が目を見開いて弘也に詰め寄る。


『目、こえーよ…。
俺、麻姫さんが彼女とかありえない。無理。やだ。』

『ボロクソだな!おい!』
あ、いかんいかん。
俺ツッコミキャラじゃねーよ。


『じゃあ何で一緒に帰るみたいな雰囲気なの?しかも昨日も帰ったんだろ?』

嘉人よ…。
顔が怖いよ…。


『だから、怖いっつの。
部活入ってから毎日一緒に帰ってるよ。それが約束だから。』

『…は?約束?』

『ああ。俺と麻姫さんは幼なじみなんだ。』

『『えーっ?!』』

まさかの幼なじみパターン?!

驚いてる俺らに弘也は続けて話す。


『俺らの地区からこの学校に通う奴って珍しくてさ。麻姫さん、朝は友達と来てんだけど、帰りは部活で遅くなって、帰る奴がいねーんだよ。そこで、麻姫さんのお母さんに頼まれたわけ。「弘也くん、サッカー部入るなら、麻姫と一緒に下校してやって。」って。』

『へー…。』
嘉人も俺も拍子抜け。


『だから、付き合ってねーからな。』

『お、おう。
てか幼なじみなのに何で"麻姫さん"って呼ぶんだよ?』

嘉人が尋ねると、

『ああ、麻姫さんは今まで通りでいいって言ったんだけど、ほら、あの人ってモテるだろ?だから呼び捨てとかしたらなんかアレだし、一応、部活も一緒だし、先輩後輩の関係だからさ。』


『そうか…。』


弘也なりにいろいろ考えてんだな。



『俺、もう行くから。また怒られるの嫌だし。じゃーな。』


『おう!またな!』

『ありがとな!』


弘也が部室へ入り、俺達も部室へ向かう。