「…俺昔からずっと好きやった女がおってさ」

直也が静かに喋りだす。

「結局そいつとは付き合えたんやけど…俺の一世一代の大告白を『ええよ』の二つ返事で返してきよって」

そう言ってあたしを見つめてくる。

「え、あたし?」

「そうじゃ、ボケ。付き合ってからも二人でおっても全然楽しそうちゃうしやな…」

直也はここまで言うとまた小さくため息をついた。

「もしかしたらこいつは俺に気ぃ使ってOKしたんちゃうかなって思い始めたんや。やからあん時俺から別れを切り出したんやで」

なんで…
なんであたしは直也の気持ちに気付いてあげられなかったんだろう。
不器用ながらに一生懸命愛してくれていたのに…

「ごめん…」

あたしは俯いた。

「でもな…自分から別れを切り出したくせに、お前のこと嫌いになんかなれんくて」

「え…」

「むしろ逆や…どんどん好きって気持ち増してった。やから、そのストラップなんかよりお前に渡したいもんがあってん」

そう言って直也があたしの手の上に何かを乗せた。

「これって、第2ボタン…?!」

「おん…由美と離れてみても由美のこと忘れられんかったら、これ渡してもう一回告白しようと思ってたんや」