そして、紗衣が歩きだそうとした瞬間あたしは紗衣の手を強く握った。


紗衣はあたしの手が震えてるのに気づき、足を止めた。


「どうしたん?」


紗衣は優しい声で言った。


あたしはずっと下を向いて黙り込んでいる。


あいつの笑顔を思い出すと涙がこぼれた。