『ちょっと待って!』 あたしは彼の腕をつかんだ。 『このケーキいらない。もとはそっちが買ったものでしょ』 あたしがそう言うと、彼は笑顔であたしの方を見た。 「俺は気にしなくていいよ、食べな」 『いらない。そんな優しさなんてあたしはいらないから』 「遠慮すんなよ」 彼はそう言って、あたしの頭を撫でた。