あたしが申し訳なさそうに言うと巳哉君はニカッと笑って財布を持って玄関を出た。 『ごめんね…あたしがぼーっとしてて』 「うぅん。気にしないで。紗衣が気にするようなこと言ったからだよ…」 『あたしがいけないの…』 「桃…」 あたしはそう言って、下を向いた。 「葵にぃに…チョコあげないの?」 紗衣は遠慮がちにあたしに言った。