『・・・ここでもない。アイツは一体何処にいるんだ?・・・』
『・・・・お前は・・・・だから良いが俺は・・・だ。早く見つけないと・・・』

 内容は良く掴めないが、なにか重要な話題のようだ。忠行の好奇心は、そそられていった。
 その時である。小さい方が何か言うと、忠行にもギリギリ見える程度に何かを、大きい方に突き出した。

 それは、丸く、黒い糸のようなものが大量に巻きついているように見える。
 暫くして、忠行は、それが何であるか知った。人の生首である。

 苦痛に歪み、血にまみれたその顔は、明らかに異常な死を遂げたものである。思わず、忠行は声を上げてしまった。
 それに前の小さい方の影が気付いた。

『逃がすな!』

 その声と共に、大きい影がいきなり伸びた。それは人間の影ではなかったのだ。忠行がそれに気付いた時には、すでにソイツは忠行の前にいた。たちまち黒く、長いものが忠行を締め上げる。

「ぐっ!」

 忠行の顔が苦痛に歪む。目には、先程の興味の欠片もなく、恐怖だけがあった。
 いつの間にか、忠行の身体持ち上げられ、小さい影の主へと運ばれる。
 小さい影の主は、一目見ると、微かに笑った。

『殺れ・・・』

 次の瞬間、忠行の身体は、ただの肉片と化し、その場にボタボタと音をたてて落ちた。
 その様子を、見ながら小さい影の主は、静かに言った。

『・・・腐敗の剣の主。早く出て来い。そうしなければ、犠牲者がもっと増えるぞ?』

後には、血溜まりに落ちた臓器と肉片だけが残された・・・