「う、う~ん?」

 晶はベッドの上で目覚めた。白いカーテンから、日光が漏れて、晶のまだ未覚醒な意識をくすぐる。

 晶がベッドから身を起こすと、そこはいつもの自分の部屋とは違った部屋であった。質素な台とベッド、それに小さな冷蔵庫とテレビしかない質素で小さな部屋である。

(ああ、そうか。俺、昨日の戦いの後、アイツをこの屋敷まで送ったら、そのまま寝ちまったのか・・・)

 そこまで思い出すと、待っていたかのように晶の腹部を激痛が襲った。昨日、あの大狼になぎ払われた時の打撲が今でも痛むようだ。
 晶が服をめくってみると、痛々しい青紫色に腹部が変色していた。

「イテテ。全く、酷い目にあったぜ。恐らく、俺の人生で一番悪い出来事だったな・・・」

 晶は、痛む腹を押さえると、部屋を出ることにした。部屋を出ると分かったが、昨日感じたよりも大きな屋敷らしく、廊下にいくつも扉があった。晶は扉に沿って歩いていく。
 三つ目の扉を過ぎると、下へと続くと思われる螺旋階段が現れた。

「二階だったのか・・・」

 晶は、階段を下りていく。一段一段降りるたびに、衝撃で腹部の打撲がジンジンと痛みを送りこんでくる。なんとか、下り終わると、フロアーに大樹とミキがソファーに座っていた。

 大樹は寛いでいるようだが、ミキは落ち込んでいるようである。
 気まずい空気・・・晶がそれを感じ、声を掛けようか迷っていると、大樹の方から掛けてきた。

「ああ、起きたのか。どう?良く寝れた?」
「まあ・・・・」
「それは良かった。昨日はミキ君を助けてくれてありがとう・・・」

 大樹がそこまで言うと、ミキが急に立ち上がり、晶の前まで来た。
 思わず晶は一歩後ろに下がる。

「な、何?」
「・・・・」

 暫く沈黙が続いたが、その間、ミキの鋭い眼差しは晶を睨み続けた。

(や、やっぱり怖~!)