「うわっ…忘れてた」

あれから屋上に行って昼寝の続きしてたら寝過ごしてもうて…
委員会なんてとっくに終わったであろう時間やったけど、とりあえず図書室に向かった。

ラッ…

ドアを開けようとしたその時、ドアが開いて中から奈々ちゃんが出て来た。

「わ…ッ…森田くん…?!」

びっくりした表情の奈々ちゃん。
だけど俺だって驚いたわけで、動揺を悟られないよう必死。

「えっと…帰るん?」

「うん…」

頷く奈々ちゃん。

「そっか…ほな」

せっかく話せたんだしもっとしゃべりたかったけど引き止めるのも悪いかと思う。

「うん。バイバイ」

「あ…奈々ちゃん!」

…いや、やっぱり止めた。
このチャンスを逃すわけにはいかないと思って君の腕を掴んだ。

「えっと、…」

奈々ちゃんは戸惑ってる。
そらそうやんなぁ。

「あの、その…好きです」

勇気を出して告白。
緊張でボソボソした声しか出なくて俺は自分の声帯を呪う。

「え……?」

「ごめんな、いきなり…
話したこともないのに。
前から気になってて…」

俺は顔を伏せた。

「あたしも…ずっと前から森田くんのこと好きやったよ」

奈々ちゃんの言葉にハッと顔を上げる俺。

「ほんま?!」

「ほんま」

「うわ、めっちゃ嬉しい」

なんだか信じられない。
きっと叶わない恋なんてない。
想い続けてればいつかは通じるものなんだ。

END