「…」

ふいに目が覚めた。
…いや、単にトイレ行きたくなっただけだなんて、私は知らない。

よっこいせ、と起き上がったときだった。

「いっつぅ…」

後頭部に鈍い痛みがはしる。

ああ、そうだ。
私、転けたんだ。…派手に。

「…あのあと、フィーさんが運んでくれたんだ」

服はいつのまにかネグリジェだし。

そんな思考を巡らせながら部屋の扉をあける私。

「…うそ」

真っ暗。
部屋の外の廊下は、真っ暗。

どうしよう…怖い。
でも、トイレ行きたいっ…!

「…えいやぁっ!」

と、気合いをいれると私は壁伝いに歩き始めた。
私の部屋はこの屋敷のどこら辺だろ?
トイレはどこ?

…全然、場所わかんないじゃん!

トイレに行くのを一時諦め、一度部屋に戻ろうと後ろを振り向いたとき。


「部屋…ない?」

うそでしょ!?
目印になる様にドアをあけてきたのに!

必死に手探りでドアノブを探す…と。

手に触れた冷たいもの。

「ドアノブだ!」

急いで開けようとノブを回す私。

だけど。

ドアノブはいくら引いても、開いてはくれなかった。

え、やだやだっ!
怖い、怖いよぉ…。

真っ暗闇に独りぼっち。