「それでは苺様。まずはドレスのリボンを解いてしまいますね」

あ、なんか本当に女の人に着替えを手伝われてるみたい。
そんなに緊張しないや。

「それでは、失礼いたします」

するするっとドレスが肩まで下がったときだった。

「フィー!」

大魔王さんの声が浴槽から聞こえてきた。
…切羽詰まったような声。

「はい。一体どうしたんですかもう…」

フィーさんは髪のリボンを解くと呆れた様に、でも心配した声色で浴槽の中に入っていった。

…ドレス、脱がなきゃ。

「貴様、チョコレートを…!」
「しかしですね、……」

なにやら、言い争っている声が聞こえてくる。
チョコレートをって…。
チョコレート風呂で何かあったのかな?

とゆうかチョコレートで争う大魔王って…。

「私は絶対チョコレート主義ですから」

…はいっ!?
絶対チョコレート主義って…何ですか一体!

もしかして、なんでもかんでもチョコレートなの!?

「とにかく、お着替えください」

「…本当に貴様は……」

バサバサッという音が聞こえてきた後。
ガコン、という痛そうな音が聞こえてきた。

一体、このカーテンの奥では何が起きてるんだろ…?

思わず、ドレスを脱ぐ手が止まってしまう。

「ふう」

大魔王さんの満足そうな声が聞こえたと思ったら、カーテンがしゃっと開いた。