「あ、居た居た!おーい、王さま!」

暗闇だから声だけ。
男の声が聞こえてきた。

「…誰?」

「レイスだ。確か…俺の妹の息子の兄弟の子供だと思ったな」

ちょ、ちょっと複雑だね…。

「ちなみに城では俺が一番えらいのだぞ」

「へぇー」

聞いてないけど。
やっぱり、大魔王…だもんね。

一番えらいよなぁ、そりゃ。

「あれ?どうしたの、そんな可愛い子つれてさ」

「…姫だ」

「あ、弥生姫?」

「違う」

困惑した空気が伝わってきた。

ど、どうしよう?

私…殺されちゃったり!?

切り捨てごめん!
とか言ってさ!

「ま、私は可愛い子だから全然大歓迎だけどね」

「お前は許婚がいるのではないのか?」

大魔王さんが呆れた様にため息をつく。