「うわ……」 女性特有の 甘ったるい匂いに やられそうに なりながらも堪えて 化粧台を探す。 「化粧台って…あれだよな?」 おそらく化粧台だと 思われる物の 引き出しを 開けると 古びた封筒が 1枚見つかった。 封筒の表には 《悠へ》と 書いてある。 「これか…」 ――ジーン… 胸が熱くなる。 久しぶりに見る 母さんの字。 まるっちくて 変な字だったけど 俺は母さんの字が 大好きだった。