「どういう事?」


興味があったようだ。


「被害者と思っていた女の子に撃たれちゃってさ」


「……撃たれたの?」


眉根を寄せるシサ。


本来、僧侶なら「回復魔法をかけますか?」などと心配してくれるのだと思うのだが。


この様子だと、怪我をしたなどと言えば物凄く嫌そうな顔をしそうだ。


怪我人を癒し、神の奇跡を説く神官がそれでいいのだろうか。


「撃たれたけど当たらなかったよ」


「そう」


「…………今、一瞬喜ばなかった?」


「それはそうよ。あなたが怪我をしなかったんだから」


その「怪我をしなかったから」の本意はどこに有るのか、聞いてみたいと思った。


「それで、やはり組織が一枚かんでいるの?」


「それは今の段階ではなんとも言えないよ。ただかなり可能性は高いね」


シサの言った組織とは、bbと言うテロ組織の事である。


人身売買や売春の斡旋で得た資金を反乱軍に供給したり、傭兵を戦地に送り込んだりしている。


このミスタリ国は戦乱のない平和な国だからテロリズムとはあまり縁が無い。


とは言え、同盟国に騎士や魔法使い、僧侶を派遣しているので無縁とは言えないだろう。