「非戦闘要員には苦しい。もし出会ったら、大人しく祈る」


シサは絶望的な事を言う。


とはいえ、それも仕方の無い事かもしれない。


あのランスがここまでやられる程の相手、シサが何十人いても倒せないだろう。


もし仮にあの場にいたのがランス以外だったら、怪我では済まなかったかもしれないし。


「同じ相手には二度負けない。次は捕まえて拷問にかけて吐かせてやる」


ランスは呟くように言った。


その目線は下を向いている。


「そうだな、次はやってやろう」


そういってランスの頭を撫でると、ランスは八重歯を見せた。


「天才と怪物」


急に後ろのベッドに座っていたミュがつぶやいた。


小さな声であったが、ランス以外には聞こえ、ミュへと視線を向ける。


ランスは奮い立たせる言葉を呟き、自分の世界に入り込んでいた。


知らない人の前でやると間違いなく正気を疑われるが、この中でランスの奇行を気にする人間はいない。


「どういう意味かな?」


「そのまんまの意味よ。天才と怪物、ピッタリ」


「事と場合によっては、容赦しない」