「動けないんだけど」


見るとさっき起きたと思ったシサが寝ぼけたらしく、何故かミュに抱き着きながら二度寝を始めたようだ。


シサの、夢と希望がたくさん詰まった胸と腕に挟まれ、ミュは苦しそうに見える。


ちょっとだけミュが羨ましく感じてしまうのは、男である以上仕方の無いことだろう。


しかし、これは少しだけ困ったことになってしまった。


「シサは寝起きが悪いから滅多なことでは起きないし、無理して起こすと殴られちゃうんだよね、パーじゃなくてグーで」


「…………なんとかしてよ」


「まぁ、昼前には起きるだろうから、それまで二人で眠ってなよ」


ミュは露骨に嫌そうな顔をしたが、こればっかりはどうしようもないのだ。


どうせなら、シサの胸に顔面をぐりぐりと…………いや、なんでもない。


「じゃあ、ランス行くよ」


そう洗面所に声をかけたら、ランスが再びタオルを引きずってやってきた。


「おいおい、朝食はどうした?」


全く同じ事を再び言い出したランスは、シサとミュが転がっているベッドに飛び込んだ。


小柄なランスは二人の足元に陣取り、踏ん反り返ってこちらを見ている。