女の子は微動だにせず、返事もしない。


「とりあえず、守護隊に行くんで付いてきてください」


今度は女の子も反応し、ゆっくりと立ち上がった。


「じゃ、行きますね」


そう声をかけてから歩きだす。


一歩、二歩とゆっくりドアに向かって。


しかし、三歩歩く頃には索敵能力が働いていた。


後ろを振り返りながら、女の子の手を掴んで上に向ける。


その手には、黒いハンドガン。


パンと渇いた音を立てて弾が発射され、天井に風穴を開けた。


「さっき言いましたね。『不意打ちしても同じ結果になりますよ』と」


女の子はキッときつい目で睨みつけて来る。


「あなたさっきから何なの? 気持ち悪いんだけど! モンスター?」


「いえ、僕は人間ですよ」


「人間にはそんな事できない!」


「できますよ。だって、ほら」


さっきの弾丸が落ちている辺りを指差した。


「このように、案外できるものですよ。特別な訓練はひつようですけどね」


「話にならない! 汚い手で触んないでよ!」


「大丈夫。ここに来る前にトイレへ行き、そこで手を洗いましたから」


「そういう問題じゃない!」