確かに、この部屋ならば死角が少なくて、襲われたとしても守り切れるだろう。


ここでミュに死なれてはbbの手がかりが無くなってしまうので、この警備員の言っていることは一理あるのだ。


「…………分かりました。それでは、僕達は下にいるのでミュが目覚めたら連絡ください」


「フェイ」


「シサ、行くよ」


シサの手をむんずと掴むと、部屋を出た。


下のロビーに行ってジュースを買い、シサに渡す。


シサはその間一言も喋らなかったが、ジュースは素直に受け取り、椅子に座って飲みはじめた。


その横に腰掛ける。


「どうしたらいいんだろうね」


シサに問い掛ける。


シサは黙って前を見ながら、ジュースを飲みつづけた。


「なにか方法無い?」


「ある」


シサは即答した。


てっきりまた無言かと思っていたのに。


少し驚いた。


「どんな方法?」


「…………あまり勧められない」


「どうして?」


シサが顔をこちらに向けた。


「危険だから」


そう言ったシサは、笑っているとも泣いているとも言える複雑な表情だった。


あまり感情を表にしないシサにしては珍しい。