ミュの部屋はこの前の部屋とは違い、大分広いところに移されていた。


それなのに、疲れている様子のミュ。


理由は直ぐに分かった。


「これでは気が休まらないね…………」


シサは頷く。


そしてさらに、部屋の隅を指差した。


そこにあったのは、トイレ。


壁もカーテンすらもなく、ただそこに存在していた。


「これは酷いなぁ…………」


「体を壊してしまう」


「そうだろうね…………」


おちおち用もたせないなら、参ってしまうに決まっている。


女性としてもかなりつらいだろう。


おじさん達に囲まれながらではまさに凌辱だ。


今日はもっと踏み込んだ話をしようかと思っていたが、この惨状を見るととてもじゃないが出来ない。


「も、もうちょっと普通の部屋は無いんですか?」


怖い顔をしている警備員のおじさんに聞いてみた。


「ここが保護には一番最適です」


「保護?」


シサが呆れや憤りといった感情を含めながら言った。


「はい、保護です。これならば悪漢を撃退できる」


「しかし、この部屋ではミュが精神的にやられてしまうのでは…………」


「しかし、死に至る事はない。警戒を怠れば死んだり殺されるのは目に見えている」