「…………言い残す事は無いか?」


最後のチャンス。


「…………それでも、僕はやっていない」


言ってみた。


真面目に。


真剣に。


しかし、効果は無かった。


合掌。












「それでこんなにボロボロなのね」


目を覚ましたシサは楽しそうに言った。


まったく、誰のせいだと思っているのか。


悪いのはシサとランスなのに、過失の無い人間が殴られている。


この世に神も仏もない。


「…………早くライブをかけてほしいんだけど」


「分かった」


シサは呪文を唱えた。


いつもなら何度か渋るのに、今日は素直である。


もちろん嬉しいのだが、少し違和感を感じた。


「ありがとう。ところで、ランスどうしたの?」


「どうしたもこうしたもない。最近報告が滞っているから…………」


言っている内容は真面目だが、モジモジしているランス。


気持ち悪い。


シサと言いランスと言い、今日は二人とも変だ。


そんな事を口にするほどアホじゃないが、係わり合いたくないのが本音。


ただでさえ大変なのに、こんな調子じゃ苦労するに決まっている。