春が来た。

まちにまった入学式会場に、
少し改造したての制服を身にまとって、
日向麻燈(ヒナタアサヒ)は立っていた。

「やっと入学できるんだ。」

麻燈は、
ずっと夢見続けていた
高校に入学できる事でウキウキしていた。

周りを見れば、
たくさんの人がいて、
みんな期待と不安を胸に抱え受付を済ませているようだった。

――次は、アタシの番だ。

麻燈は、着古した同じ制服を着ている
受付係の学生の前に立った。

「すみません。
受付いいですか?」

そこら辺にある、ペンを手に取る。

「ああ。いいですよ。
何組ですか?」

学生は麻燈に問いかける。

その時、
初めて麻燈は、その学生の顔を見た。

「4組です。」

その学生は、
さわやかな感じが特徴的な優しそうな人だった。

「じゃあ、こちらに名前を…」

「あっ書きました。」

そういう。

麻燈は、無愛想だった。