朝、目が覚めると麻燈は、家にいた。

「ああ…
戻ってきたんだ」

そう、改めて実感した。

「麻燈、海君。
迎えに来るから、早く準備しなさい!!!」

階段の下から、お母さんの声が聞こえてきた。

「はーいっっ」

麻燈は、大きな声で言う。

ベッドから、立ち上がると…
麻燈は、部屋にある全身鏡に映った、
自分の姿を見た。

「はあ…」

思わず、ため息をついてしまう。

まだ、抗がん剤の治療の副作用のせいで、
抜けた髪が十分に生えていない。

それに、度重なる治療のせいで、
体も痩せ、頬もこけた。

麻燈は、久しぶりにそんな自分の姿をまじまじと見た。

でも…
開き直って…

「よっしっっ!!!
化粧で、ごまかすっっ」

そう笑った。