「……――はぁッ」
全力で地面を蹴り上げる中、薄暗い路地から転がってきたモノ。
白くて丸い、ソレを拾い上げた。
「――ボタン?」
その中には、やっぱり桜の刺繍がうっすらと施されていて。
「――やめっ……!」
「……いってぇな!」
向こう側の路地の隙間から、スーツ姿の若い男が倒れ込んで来た。
「―――ッ……」
目の前に飛び込んできた光景は
ひとりの小柄な女の子に、さっきと同じスーツを着た男たちが掴みかかっている。
―――ふたりも。
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