朦朧とする意識の中、ふたりの会話が聞こえてきて。 それもどこか夢のように感じて。 「美桜……」 あんな小さい体で、美桜は今ひとり何をしているのだろう。 変なヤツに捕まらなければいいけど。 出て行ったのは、夜だ。 行く当てはあったのだろうか? まさか、――体を差し出すなんてこと……っ。 「美、桜……」 重すぎて起き上がらないこの体。 唯一伸ばせる手で、 届かないと分かっていても。 精一杯、手を伸ばした。 ――ねぇ、君は…… 今、どこにいるの?