この騒ぎを引き起こした張本人。



「志月は太ってもカッコいいよ」

黒い髪を、サラッと風になびかせる天然のネコ。

そういうことは、簡単に言うなって。



「美桜チャン……っ!」

――ほら、つけあがるから。


「触んな」

志月の制服の襟元をグッと掴んで間一髪の所で、美桜から引き剥がす。


「……チッ、そういえば、さぁ」

舌打ち、聞こえてんだよ。



「美桜チャンは、太らなかったの?」

「変わらなかったよ?」

フルフルと首を振ってみせる。




「……」

「……」

美桜がトイレに教室を出た後、俺と志月は顔を見合わせた。