美桜を見る目つきが、急にイヤらしいモノに変わる。


ったく、油断も隙もないヤツ。



「……え、…未来も行かなきゃ…ヤダ…」


“ガーン”
この効果音が聞こえたのは、一体何度目か。


「悪ぃな。美桜は俺がいなきゃダメなんだよ」

「はっ、デレデレしやがって!」

「何とでも言え」


くぅ~っ、と歯ぎしりをしてはんにゃのような目つきで俺を睨む。



「志月、ありがとう」

一応、俺も誘うつもりだったのか美桜が行かなかった時の切り札なのか……


志月の手に握られていた、3枚の券。

そのうちの2枚を美桜が抜き取った。



「行こう?」

「み、美桜チャ……っ」

美桜の右手に俺の手、左手に志月の手が繋がる。


真っ赤になって焦る志月を、美桜がくすっと笑った。


微笑ましい光景の中悪いんだけどさ。



「コイツとは手、繋がなくていいよ?」