アイツの手が美桜を追いかけ
宙を舞い

握った瞬間には


美桜の長い黒髪は、その手から滑り落ちて。





「ナイスキャッチ」

まるで空から落ちてきたみたいな美桜の体を抱き留める。


今日はクリスマスだから
“コレ”が俺へのプレゼント?



「じゃ、美桜はさらってくから。“お兄さん”」

皮肉をたっぷり込めて言うと、
青白かった顔に僅かに赤みが増したように、見えた。


あの顔が真っ赤になるのを確認するより先に


アイツが窓から消えたからだ。





――やべっ

追いかけてくる気だ。





「未来、……ッ」

「分かってる」


美桜の腕が首に回ったのを感じたと同時に、

地面を思いっきり蹴り出した。




初めて

美桜の影を
見つけた時のように―――。